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29days ago

フォトグラファーMaikoのLAガイド#49【原点は街行く人の靴磨き。いまやセレブ御用達の靴修理店となったWillie’s shoe serviceオーナーインタビュー】

Store Boots LA guide

ロサンジェルスを拠点に、小さな体と重たいカメラで写真を撮り続けるフォトグラファーMaiko。実際にMaiko自身の足で訪れた、話題のスポットや立ち寄ってみたくなるようなショップをMaikoの目線で紹介する。

Willie’s shoe service



ロサンジェルスのコリアンタウンにある、とある靴修理屋。
一見、何の変哲も無いショップに見えるが、実はここ、セレブリティたちも御用達の靴修理店なのだ。



Willie’s shoe service オーナーのRaul Ojeda
靴修理だけでなく、オーダーメイドのシューズブランドDon Villeも持つ靴職人だ。

 
今では有名人や、持ち物にこだわりのある人たちの間で広く名が知れている彼だが、10代の頃までは、メキシコ出身の一般的な少年だった。
18歳の時、仕事を探していた彼は、友人のすすめで靴磨きの仕事を始めた。
最初は消極的だったが、やがてたくさんのオフィスが入っているモールで靴磨きスタンドを始めることに。
靴磨きに来るお客さんは忙しく急いでいる人がほとんど。もし長い間待たせてしまったら誰も来なくなる。
そこで、3年後には従業員を増やし、靴磨きスタンドも4箇所に増設。
ひとり10分以内で靴を磨くようにし、少しずつ顧客を増やしていった。
するとお客さんから、「靴磨きだけではなく靴修理もやったらどうだ」と言われるようになった。
お客さんは皆ビジネスマンで成功者だったから、彼らの話はとても参考になったという。
 
よく通るハリウッドの道にいつも気になっていた「Willie’s」という靴修理店があった。
ある日訪れてみると、そこは他の靴修理店とはまったく違っていて、通常は置いていないようなミシンがずらりと並んでいた。
Raulは一瞬にして目を奪われたという。
それから毎週のように通うようになり、オーナーのWillieと親交を深めていった。
 
Willie’sは、1956年からハリウッドで続く靴修理店で、Willieは靴職人としてレジェンド的存在だった。
ハリウッド黄金時代のテレビや映画の衣装でも、大いに役立った。
オーナーのWillieは当時80代のおじいさんで、まだまだ元気だった。見習いを雇う気はなかったが、店の中は物が散乱しぐちゃぐちゃな状態だった。

Willie'sの営業スタイルは、お客さんの連絡先を聞くこともなく、修理が終わった頃にお客さんが自分で訪れ、山積みになっている靴の中から自分の靴を探す、という何ともオールドスクールなスタイル。
Raulは報酬もなしで通い、お店の中を掃除しながら、そして少しずつ靴作りを学ぶようになった。
 
そしてRaulが25歳の時、Willie'sを継ぐことになった。
ビジネスの勉強もしたことがなく最初は苦労したが、なんとかやってきた。


 
こうして始まったRaulのWillie’s shoe service。
何度か移転をしているが、現在はコリアンタウンにある。
Willieが多くの顧客から得ていた信頼もそのまま受け継ぎ、今もなお、一般顧客からセレブリティ、まだショービズの世界からも人気の靴修理店だ。
取材に訪れた日も、テレビ番組収録用の靴を修理していた。電話もひっきりなしに鳴り響き、来客も絶えず、大忙し。





Raulはこの靴修理だけでなく、2011年にはオーダーメイドのシューズブランドDon Villeをスタートさせた。
その人の足に完璧にあうような靴作りができるようになるまで、血の滲むような努力を続けた。
半年かけて1つの靴を作ることもあった。
店にはこれまで作った靴の木型がずらり。これでもごく一部。






ゼロからの靴作り、修理、そして靴磨きまで、靴の全てを知り尽くしているRaul。
今でも自分の出発点である靴磨きは続けており、Raulが自ら作った移動式靴磨きスタンドは様々なイベントでも見かける。
フリーマーケットで見つけたり拾ってきた材料で作ったというスタンドは、味があってとっても魅力的。



下の写真は、ベニスにあるメンズクロージングショップThe Strongholdでのパーティーにて。


作業場には旧いミシンが所狭しと並ぶ。


1920年代のSINGERのミシン。
作業時間はだいぶかかるが、細かいところまでこだわった縫い付けができる。
「普通だったら誰も使いたがらないね(笑)」とRaul。それでも機械を使い続けるところに職人魂を感じる。
なるべく電気のマシンは使わず、ハンドツールで作業している。





昔から、靴職人になりたい!と思っていたわけではなく、何となく始めた靴磨きの仕事をただただ頑張って、
もっと良くしよう、もっと良くしよう、と思い続けていた結果がいまに至る、というRaul。
Willieの意思と人々の信頼を引き継いで、今日もたくさんの靴を直し蘇らせている。
 



Willie’s shoe service
248 N Western Ave, Los Angeles, CA 90004
http://www.williesshoeservice.com


●フォトグラファープロフィール
静岡県出身。都内の大学を卒業後、マスコミ関係の仕事に携わる。退社後、心機一転しフォトグラファーとしてハワイへ移住。仕事を通じて技術と語学力を身につけ、2015年に以前から憧れていたロサンジェルスへ。クリエイター集団Seven Bros. Pictures所属。
http://seven-bros.com


Photo by Maiko Naito 内藤真依子  Text by CLUTCH Magazine 編集部

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